2026年2月27
日本人の経営管理者に自社の経営幹部のリーダーシップについて尋ねると、会社によって状況は異なるものの、よく聞かれる典型的な回答があります。「創業当初からいる幹部はしっかりしており、リーダーシップもあって非常に頼りになる。私は彼らの経営判断を信頼している」というものです。
しかし、さらに経営スタイルや組織の実態を深掘りしていくと、別の側面が見えてきます。リーダー自身は強いリーダーシップを持っているものの、そのリーダーを支える幹部層が育っておらず、年齢の離れた若手スタッフに依存して組織が成り立っているケースが少なくありません。このような状況は、本当に「リーダーシップがある」と言えるのでしょうか。
実際、特にベトナムでは欧米的なリーダーシップ観の影響が強く、「リーダーシップ=方向性を示し、ビジョンを描き、部下を導く力」という一面的な理解が一般的です。確かに、事業の方向性を理解し、将来のビジョンを示すことは重要であり、難易度の高い仕事です。そのため、多くの人が「偉い立場になること=リーダーになること」と考えがちです。しかし、逆に言えば、リーダーを支えるフォロワーがいなければ、どれほど優れたリーダーでも実際には何も成し遂げられません。リーダーシップを機能させるためには、「人を巻き込み、フォロワーをつくる力」そのものが極めて重要なスキルであるにもかかわらず、この点は十分に認識されていないことが多いのです。
欧米のビジネス環境では、合理性を重視し、感情に左右されずに組織が動く文化があるため、「フォロワーになること」が当然の前提として成立しています。そのため、リーダーシップだけが強調されやすいのかもしれません。一方、日本やベトナムのようなアジアの国々では、欧米のように合理性だけで組織が動くわけではありません。文化的背景や人間関係の影響が大きく、簡単には他人の言うことを信じない傾向もあります。だからこそ、「どれだけフォロワーをつくれるか」がリーダーの力量を測る重要な指標になるのです。
フォローとは本質的に何を指すのでしょうか。考え方ややり方が多少、あるいは大きく違っていても、信頼関係や心の通い合いがあればフォローできるものです。ある意味、動かされても構わない、むしろ動かされても良い、そうした安心感がフォローには含まれます。自分が人を動かす、または人に動かされる経験、つまり、人に優しくしてもらい安心し、心が頼れる経験がなければ、同じように他者に与えることはできず、人を動かすことはできません。というのが私のみかたです。
ベトナムは現在はそれなりに成長していますが、少なくとも私が経験した1980年代と比べると、余裕があり人に親しみや安心感を与える余地はほとんどなかったと感じます。人に優しくすれば、騙されたり損をしたりすることもあるので、むしろ感情よりも論理で武装した強いリーダーシップが求められました。限られたチャンスを争い、手に入れ、生き残るために、人にやさしくしてもらって、動かされて、フォロワーになる経験は相対的に少なかったのです。そのため、ある意味で、自然にフォロワーが増えてくるノウハウが無い、あるいは学習されていないなど、とにかく文化的に意識されておらず、実践されていないと感じます。
親世代はフォロワーになる経験が少ないため、そのロジックを次世代に教えることは困難であり、フォロワー文化が根付くまでに時間を要する。そのため、職場においては意識的にフォロワーを育成するノウハウを実践し、伝承する必要がある。そのコツは意外に難しくないかもしれません。
要するに基盤は「愛」と「信頼」、そして「委ね切る姿勢」です。
私自身、フォロワー経験の少ない親世代の一人として感じるのは、愛をもって社員と向き合い、彼らを強いフォロワーへと育てることこそが、リーダーとしての礎石であるということです。
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国費留学生として、選ばれ、1996年~2006年まで日本で留学と仕事を経験したのち、ベトナムに戻り、日系企業に対して、経営助言のコンサルティングをしました。ベトナム人は比較的にレベルが高くないという実態をなんとかしたく、2010年からアイグローカルリソースを創設、ベトナムにある人材のレベルアップを会社のミッションに、日々、努力しています。
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