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2022年2月9日

人材から人財への道のり::VOL 51::チェック代行サービス

日本人社員もベトナム人社員もいる中で、仕事に対するある一つの違いについて、いつも不思議に思っています。それは、日本人に対しては仕事を依頼するとそれほどこちらがチェックしなくても、一度教えたことはこちらの期待どおりの仕事を継続的にやってくれています。それに対して、大概のベトナム人社員はチェックを疎かにすると、遅かれ早かれそのうちに違ったやり方をしたり、ひどいときは完全にやらなくなる(放置する)ことすらあります。ここでの行動パターンの違いに関して、いろいろな説がありますが、ベトナム人社員に関して、入念なチェックは不可欠であることは間違いありません。

大企業の場合、社員の質が高く、中間管理職もしっかりしているので、経営管理者は月次レポートや週次レポートをチェックするだけで事足りますが、中小企業はまた状況が違ってきます。管理職も含めて社員のほとんどが開発途上のため、仕事をしながらスキルアップする中小企業では、月次レポートや週次レポートだけでは不十分で日次レポートも入念にチェックして、すぐに社員へフィードバックすることで、社員の成長を促しながら、仕事の質も担保するわけです。プレイングマネジャーであれば、当然ながら、こういうチェックを行っていますし、慣れているので、そうは負担にならないはずですが、このコロナ禍で状況が少し変わってきました。

それはチェック作業とフィードバックするタイミングがずれてしまうのと、チェックの効率が下がっているという点です。本来であれば、定時前に部下が上司のところに来て報告し、それに対して上司も簡単にチェックをし、すぐに助言を含めてフィードバックできるのですが、コロナ禍後では少し様子が違います。というのも、在宅勤務が当たり前になっているため、今は報告及びチェック作業がとてもやりづらくなっています。報告及びチェックのためにわざわざZOOMをかけるかというと少し面倒な気がしますし、メールで日報が送られてきてもほとんどは定時後になっているので、部下へコールするのに躊躇する上司も多いのではないでしょうか。一通り、部下の日報をチェックして、翌日フィードバックする形にするしかありません。

ところで、チェック作業の中身はどうでしょうか?内容の複雑さ順に簡単にリストアップすると下記のようになります。

    レベル チェック内容
    1 期限通りにレポートできているか?
    2 漏れがないか?
    3 レポートの内容が合理的か?
    4 過去の推移からみてレポートの内容が合理的か?
    5 予定やターゲットをキャッチアップできているか?できていないなら、どうするか?

結局、本当に上司の知恵を必要とするのは予定やターゲットをキャッチアップできていない状況を挽回するための助言や支援だけだと思います。それなら、定型作業である他のチェック項目を外注すればよいのではと考えられます。そうすれば、上司にあたる管理職が定型作業から解放され、付加価値の高い作業に集中できます。また、チェックされる側にとっても、回避可能なミスを直属上司からきつく指摘されるよりは外部から指摘された方が気が楽ですし、健全な緊張感が保たれるわけです。

実際、私も最近上記のことに気づき、チェック代行サービスを使っています。廉価だったので、気楽に始めました。導入にあたって、何をチェックすべきか自分自身も考えさせられ、面倒だなと思う気持ちもありましたが、おかげで自分の役割が見えるようになり、やるべきことを十分にやれていなかったという反省も多かったです。そうやって、チェック代行側で定時後に各種レポートをチェックしてもらい、当日(ほとんどは定時から1時間以内)にまとめてレポートをしてもらっています。問題がなければ、部下がよくやったなと感謝しますし、問題があれば、翌日に部下と打ち合わせをして、解決策を一緒に考え、実行するのみです。

このチェック代行サービスによってすぐに売り上げが上がるとは期待しませんが、部署内において、仕事に対しての緊張感が維持され、部下の能力も継続的に開発されるので、間違いなく組織力が高まります。そうするうちに、2次効果として、売り上げも改善されると予想しています。

チェック代行サービスの利用事例として、ご参考になれば幸いです。

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プロフィール
Nguyen Dinh Phuc
E-mail: nguyen.dinh.phuc@hrnavi.com
Tel: 097 869 8181

国費留学生として、選ばれ、1996年~2006年まで日本で留学と仕事を経験したのち、ベトナムに戻り、日系企業に対して、経営助言のコンサルティングをしました。ベトナム人は比較的にレベルが高くないという実態をなんとかしたく、2010年からアイグローカルリソースを創設、ベトナムにある人材のレベルアップを会社のミッションに、日々、努力しています。

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