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2024年2月19日

人材から人財への道のり::Vol.72::仕事とは?

仕事とは非常に多面的な概念です。社員にとっては、要求されるミッションを解決し、給料を得る手段であり、自己実現や成長の場でもあります。一方で、経営者にとって仕事は、社会問題の解決や会社の存続と発展を目指す活動です。

これまでの仕事の考え方は、インターネットやクラウドの普及によっても大きく変わらなかった部分があります。しかし、人工知能(AI)の出現と普及は、仕事に対する我々の考え方を根本から見直す必要があるという新たな局面を迎えています。AIは、個人や法人とは異なる、人間の能力に匹敵する存在として、仕事の定義自体を変えつつあります。AIのような高度に発達したツールが登場することで、従来「仕事」とされていた活動が、その定義から外れるようになってきています。これは、仕事の内容だけでなく、その意義についても再考する必要があることを意味します。

仕事の本質的な目的は、人間であるお客様を満足させることに変わりはありません。そのためには、以下のステップが必要です。

1. お客様のニーズを捉える。
2. ニーズに応える方法を調査・研究する。
3. 最適な解決策を考案する。
4. 社内の賛同を得るための資料を作成する。
5. 社内調整を行い、承認を得る。
6. チームワークを駆使してプロジェクトを進める。

このプロセスをPDCAサイクルで効率的に回していくことが、現代における仕事の進め方です。

それぞれ作業が、AIによってどのように変わっていくか下記の表にまとめました

作業 AIを使用した場合
1 お客様のニーズをとらえる AIはビッグデータを活用し、お客様との直接対話に頼ることなくニーズを把握します。
2 情報収集リサーチ AIにより、情報収集が短期間に効率的に行われます。
3 ソリューション提案 AIが多様な選択肢を提供し、人間が最終的な意思決定を担います。
4 説明資料を作成 AIの助けを借りて、資料作成にかかる労力が大幅に削減されます。
5 社内調整 依然として人のコミュニケーション能力が重視されます。
6 チームを動かして履行する こちらも人間のコミュニケーション能力が中心となります。

AIの台頭により、仕事の風景が劇的に変わりつつあります。情報収集、ソリューションの選定、資料作成といった業務は、かつては膨大な時間と労力を要するものでしたが、AIの進歩によってこれらの作業は大幅に効率化されるでしょう。例えば、ビッグデータの解析や、複雑な情報の整理など、AIは人間の能力を超える速さと正確さで実行することができます。企業はこれを活用して、市場調査や競合分析、レポート作成などの時間を要する作業を短縮し、従業員がより創造的で価値の高い業務に集中できるようになります。

しかし、AIが多くを担う未来においても、人間特有の能力が重要であることに変わりはありません。お客様と心を通わせる対話を通じて、深いレベルでニーズを理解すること、多様なソリューションの中から最適なものを選び取ること、そしてチームを鼓舞し、共同で目標に向かって作業を進めるチームワークは、依然として人間にしかできない業務です。これらのスキルは、AIには模倣できない創造性や感情、対人関係能力に基づいています。

この新しい仕事の評価基準は、人間がAIと協働する方法を再考する機会を提供します。仕事の評価は、単にタスクを完了する速度や量ではなく、どのように人間的な側面を活かして成果を出せるか、どれだけ効果的にコミュニケーションを取り、チームを動かし、新たなアイデアを生み出し、それらを実現するかにシフトしていくでしょう。これは、組織内での対話や共感の能力がより重要になってくることを示しています。

未来のビジョンに向け、当社ではAIとの共存を探求しつつ、従業員がその人間らしい能力を最大限に活かし、発揮できる環境の整備を目指しています。具体的な方策は現在も検討中ですが、対話を通じて新たなニーズやアイデアを引き出し、広く支持を集める能力は、これからのキーポイントになると考えています。この観点を踏まえ、少しずつ人事制度に組み込んでいく予定です。

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プロフィール
Nguyen Dinh Phuc
E-mail: nguyen.dinh.phuc@hrnavi.com
Tel: 097 869 8181

国費留学生として、選ばれ、1996年~2006年まで日本で留学と仕事を経験したのち、ベトナムに戻り、日系企業に対して、経営助言のコンサルティングをしました。ベトナム人は比較的にレベルが高くないという実態をなんとかしたく、2010年からアイグローカルリソースを創設、ベトナムにある人材のレベルアップを会社のミッションに、日々、努力しています。

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