Blog

2019年10月9日

嶋村チョイス!今月のKEY PERSON
Vol 9:: BEETSOFT Co.,Ltd / NGUYEN HUU LINHさん

氏名:NGUYEN HUU LINHさん
会社名:BEETSOFT Co.,Ltd
役職:代表取締役

「嶋村チョイス!今月のKEY PERSON」第9回を始めます!
どうぞよろしくお願いします。それではLINHさん自己紹介をどうぞ!

LINHさん:NGUYEN HUU LINHです。生まれはハノイではなく郊外で、高校からハノイのHUS HIGH SCHOOL OF GIFTED STUDENTSに入りました。そこは優秀な学生を集め、数学、物理、化学、生物学の分野でさらに才能を伸ばす教育を行う高校でしたが、そこで3年間学びました。

その後、ハノイ工科大学へ進学、HEDSPI(Higher Education Development Support Project on ICT)のプログラムで5年間、ITと日本語を学び、卒業後、ベトナムにある日系企業で1年半、日本へ渡りのIT企業で1年半勤務、ベトナムに戻り2014年にBEETSOFT Co.,Ltd.を設立しました。

現在32歳、妻と3カ月になる娘がいます。

ITスペシャリスト。顔よし、性格よし!のイケメン社長です。

Q.BEETSOFTを作られた背景はなんですか?

LINHさん:学生の時から商売をしたいと考えていましたが、学生の時はITとは関係のない商売をしました。ただ、自分が好きで、やりたいことはITだったので大学5年の時にITで商売をすることを決めました。

大学でITと日本語を学んだのでそれを活かした商売をしようと計画して、大学卒業後、ベトナムのIT市場を理解し、経験を積む為IT企業で働きました。その後は日本の市場も理解しようと思っていたので日本の企業で働きましたが、1年くらい経った頃に、自分の計画を周りの人に話し、会社設立に向けての協力を得ることができました。主に大学の時の同級生や後輩です。日本で勤務した先のカケハシソリューションズには資本提携いただいています。

Q.BEETSOFTの事業について教えてください。

LINHさん:BEETSOFTはITのサービスの会社で、主な事業はアウトソーシングとコンサルティングです。ベトナムの会社はプログラミングはできますが、設計や提案能力が低いと思っています。日本語がわからない、日本のことがわからないから提案が出来ない、ということがあるんですが、BEETSOFTはそういうところを解決して、開発だけでなく設計や提案など、コンサルティングの部分も日本から任せてもらえる会社を作ろうと思っていました。日本から要求されるサービスは細かくてレベルは高いですから、日本のお客様を満足させることができれば世界にも通じるんじゃないかと思います。なのでまずは日本でやって、そのあと他の国にも展開したいと考えています。

具体的に言うと、ITの商品を作ってベトナム国内で販売しています。将来的には韓国や日本でも販売しようと考えています。どんな商品かと言うと、AIを使ってIoTと組んでカメラで自動監視できる商品なのですが、この商品をひとつひとつ販売するのではなくて、セブンイレブンやビンマートなどの出入管理など、その他はVIPのお客様の管理などにシステム連携させて販売していく予定です。今まではカード決済や電話番号によりお客様が買うことを決定した時点で認識していましたが、顔認証により入店された瞬間にすぐに発見してサポートすることができるんです。今日何を買おうとしているのかを解析して、今日はこういうバウチャーがありますよ、とかVIPのお客様でしたら今日はこれくらい値引きできますよ、といったアプローチができるようになります。お客様の携帯電話に直接送ったり、ディスプレイでお知らせしたりして購入サポートすることができます。また、嬉しいのか悲しいのか、お客様の表情を読み取って、その評価によってカスタマーサービスが良いのか悪いのか、お客様をきちんとサポートできているか評価できます。

さらに、お客様の感情とコンバージョンとの関係を計算することができます。カメラ認識によりお客様が商品を購入するまでの時間や、手に取ったけど棚に戻した情報をカメラ取り込み、なぜ買わなかったのか、コンバージョンを計算しなくてはなりません。それはお店というよりもメーカーがそういう情報を必要としているんです。

ITの力を使って社会がよくなるように、とずっと考えています。

日常の職場風景。みんな元気よく協力し合いながら仕事をしています。

お邪魔したオフィスはトレーニングマシンあり、ゲームあり、リラックスコーナーありで労働環境抜群でした!

Q.LINHさんは日本との関わり合いが強いように思いますがなぜですか?

LINHさん:ベトナムと日本は長い歴史がありますし、日本人とベトナム人の考え方は似ているところが多いと思います。世界でお箸を使う国は韓国、中国、ベトナム、日本ですし、漢字を使う文化も共通しています。そして日越の関係は良好です。2013年頃のチャイナプラスワンの動きもあり、そのタイミングで会社を興しました。

もともと日本の文化や人が好き、というのはあるんですが、ただそれだけではなくて、もっと重要なことは日本のサービスは良いというところだと考えています。日本のサービスは世界から評価されていますし、それを尊重し、勉強したくて、そういうところと仕事をしたら自分も良くなる、と思ってビジネスをしようと思ったんです。好きなだけだったら恐らくビジネスはやらないと思います。

Q.会社の最近の取り組みや、ニュースはありますか?

LINHさん:最近のニュースはベトナム情報技術企業トップ50(Vietnam’s Leading IT Companies)に選ばれ、表彰を受けたことです。このトップ50はITサービス協会(VINASA)によって技術、品質と管理、市場や顧客のシェア、前年の売上高、従業員数などを総合的に評価されるものです。BEETSOFTは売上は大きくないんですが、2000社ほどあるIT企業の中で評価され選ばれたことは名誉なことです。

最近の取り組みとしてはERP、SAP、SaaSを始めました。経営の部分をすべてではないですが、部分部分お客様と相談しながら、一緒にやっていこうとしているところです。

また、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)も始めました。

BPOとしては、アメリカの企業のコールセンターとAIのためのデータ作成を行っています。これを行っているのは社員ではなく学生で、そのため日中も夜間も作業が可能になります。1・2週間で学生を60~100人ほど雇って教育することもあるので、募集、採用、トレーニング、管理の仕組みも必要になってきます。学生にとっては仕事を得ることができるだけでなく、細かい作業も多いので社会の勉強になっていいんじゃないかと思ってます。

ベトナム情報技術企業トップ50(Vietnam’s Leading IT Companies)受賞式

Q.LINHさんが目指す、仕事の上での夢はなんですか?

LINHさん:新しいサービスを作ってユニコーン企業をベトナムだけでなく、世界にどんどん作っていこうと思っています。そして、この仕事だったらこの会社、というふうに全世界へIT支援できる会社にしたいと思っています。

Q.業界の動向がありましたら教えてください。

LINHさん:4つあります。一番注目されているのはAI ですね。

去年一昨年くらいはIoTが一番大きかったんですが、IoTが拡大して、今の問題が起こりました。それがセキュリティの問題です。例えばサイバーセキュリティ(データを守る)ですね。今とても注目されています。データをたくさん持っていたら、それをどう守るのかが重要になります。データで戦争をしますので、守らないと負けてしまいます。セキュリティが2つ目。

3つ目はスマートシティです。暮らしがもっと便利になって、人が他のことに時間を使えるようになったり、エネルギーや環境に良い生活ができるようになります。

4つ目はARがもっともっと増えてくると思ってます。今主にやっているところは、Facebookとマイクロソフトが頑張って作っています。

今BEETSOFTが行っているのは1~4の中で1と3です。全部やるのは難しいですが少しずつ入っていきたいと思っています。

Q.ベトナム人と上手く働く為に日本人へのアドバイスはありますか?

LINHさん:大きく分けて3つあると思っています。このアドバイスの背景には、ベトナムに来る日本人の方が、現地ベトナム人スタッフと比べて年配であること。この点が大きな問題だと考えています。ベトナム人同士でも年齢を重ねた人と若い人とでは話が合いません。仕事でも上手くいかないケースが多いです。年の差によって考え方が大きく違うため相互協調は難しく仕方がないことだと思います。

その上で1番目に、考え方を柔軟にすること、考えをオープンにすることだと思います。そうでないとベトナムでなくても、他の海外でも生活できないと思います。難しいんですがそこができれば、なんでも上手く行くんじゃないかと思います。

2番目は相手のことを理解すること。現地でベトナム人と仕事をする場合、ほとんどの日本人が管理職です。社員が管理職のことを理解するのは当然に目指すのですが、社員のことも同時に理解して欲しいと思います。それは社内だけの話ではなくて、その人との個人的関係にも同じことが言えます。100%はできなくても30%でもいいと思います。それがどうやってできるかと言えば、ベトナムの文化を理解して欲しい。ベトナムの文化の活動にどんどん参加して、ベトナム人の考え方とか歴史を理解できれば、仕事で難しいことがあった時に解決しやすくなると思います。ベトナムの文化や歴史に興味を持って理解してくれようとしている、というのが伝われば日本の為だけじゃなく、ベトナムの為にも働いてくれているということが伝わって理解してもらえると思います。

3番目は日本は素晴らしい国で、上位の国ですよ、という気持ちを捨てて対等の立場で考えベトナム国に気を許して欲しい。自分はベトナムと日本の架け橋になるという気持ちをいつでも持って欲しいと思います。もしそれが出来ればベトナム人からも尊敬されますし、反対に日本人も彼らを尊敬しますし、もっともっと距離関係が近くなる気がします。いつも日本は良い国でこちらを理解して欲しいという気持ちだけでは、本当のフレンドリーではないですから。この3つが出来れば仕事がしやすいと思います。

ベトナムが独立したのはまだ最近の話で、ビジネスの考え方もまだ完全に理解されていません。誰もがプロフェッショナルな訳ではないです。なので世界の基準をもってベトナムと仕事をするのはやめた方がいいと思います。もし仕事をしたいのであれば合わせることも必要じゃないかと思います。

Q.日本の若者に対してメッセージをお願いします。

LINHさん:日本の若者に対しては、どんどん海外に出て欲しい。そして新しいサービスを作って日本と世界の架け橋になればいいと思っています。そういう人が日本でもっと増えて欲しいと思います。

社員みんなでの集合写真。みんな楽しそう。一致団結ができチームワークが構築できていることがベトナムで成功する秘訣です!

―――――
インタビュアー
ハノイ支店マネジャー 嶋村 拓史(しまむら・たくじ)
E-mail: takuji.shimamura@hrnavi.com
Tel: 090 1828 660

コメント:ベトナムで人材採用のお手伝いをしております!人材の件でご相談ございましたらいつでもお問い合わせください。