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2019年7月10日

嶋村チョイス!今月のKEY PERSON
Vol 8:: ASIA GATE VIETNAM COMPANY LIMITED / 豊田 英司さん

氏名:豊田 英司さん
会社名:ASIA GATE VIETNAM COMPANY LIMITED
役職:Managing Director

「嶋村チョイス!今月のKEY PERSON」第8回を始めます!
どうぞよろしくお願いします。それでは豊田さん自己紹介をどうぞ!

豊田さん:豊田英司(トヨダエイジ)、1974年生まれ、神戸市出身です。

妻と子供(2歳)がおります。22年間、概ね人事の仕事(人事部、人材ビジネス)をしてきました。

2008年頃からは主に海外(インド、インドネシア、ベトナム)で人事の仕事をしています。

2012年よりアジアゲートベトナム というベトナムでの人事マネジメントや労働法務などのご相談専門のコンサルティング会社の代表をしています。

メガネと髭がトレードマークのダンディな豊田さん。

Q.なぜベトナムに来られたのか?当初のきっかけは何ですか?

豊田さん:前職の会社で駐在員として2011年にハノイへ派遣されました。

もともと私にとって人生の軸というものが二つあって、それは「海外」と「起業(手に職)」です。幼少期、父の事業が廃業に追い込まれた経験により、「明日は何がどうなるかわからないから、誰にも奪われないスキルを身に着けたい」ということを考えるようになりました。それは今も変わりません。「他人に人生の舵を取られたくない」という恐怖心がすごくありました。母も、「人生はいつどうなるかわからない」から、勉強をして、いい大学に入って、いい会社に入る、といった人生を私に求めて来ることは決してなく、「高校までは面倒を見るけれど、その後は自分で飯を食う方法を考えてくれ」、とずっと言われてました。

もう一つ私の海外を目指すきっかけとなったのは、中学2年生の時に読んだ司馬遼太郎の「竜馬がゆく」です。

坂本竜馬はあの時代の一流の航海エンジニア、ハイパーエンジニア、スペシャリストなんですよ。今でいうとAI技術にむちゃくちゃ詳しいみたいな。そして大きな軍団を率いていたわけではなく、海援隊という組織を率いてはいましたが、あくまでもメインは個人ベースで行動していました。子供の時からの経緯があって、「人に奪われないスキルを身に着けたい」「個人として(必要最低限でも求められる)なんとか生きていければいい」と思っていた像にはまったからなのか、坂本竜馬にすごく惹かれました。一言で言えば、竜馬になりたかったですね。私はそこから英語が必要だと感じたので英語の勉強だけは一生懸命しました。

大学は国際関係が学べる大学を選び、就職も海外に行けるチャンスのあるところを選びました。

Q.ベトナム現地で働かれてからの現地スタッフの印象など、ご経験から踏まえての人材雇用、教育に関するアドバイスはありますか?

豊田さん:ベトナムに来る直前にインドネシアに駐在していたので、どうしてもそれと比較してしまうのですが、よく言えばポリシーを持っている、逆にいうと妙に頑固でメンツにこだわるようなところがある、と感じました。業務のスピードは非常に早い反面、段取りを踏んで仕事をするというスタンスが少し弱く、業務品質の粗も目立つかな、とは思います。

総じていうと、全体図と工程管理、品質検査さえしっかりこちらで握れば、決められたコースは脇目も振らずに走ってくれるし、何度、ダメ出ししても、こちらが失礼な態度を取らない限りは腐ることなく一生懸命走り続けてくれる根気強い短距離ランナー、という印象を持っています。

ベトナム人の雇用に関する難しさについてご相談いただきますが、よく話をして、やって欲しいことを伝える、ということが大切になります。それは会社でも夫婦関係でも一緒だと思うんです。一言で言うと「愛」なんですよね。相手に対する「尊厳」ですね。その感覚をもっと伝えられたらな、と思います。環境、状況が違うだけで人間の本質はみんな一緒だと思っています。ベトナム人に囲まれて、ベトナム人に支えられて生きているうちに、大事なことは「ベトナム人だから」「日本人だから」というよりも、人間は皆、本質は同じなのだが、ある環境の中で最適行動を選ぶうちに、我々の常識とは違う行動を選んでいるんだな、と思うことが大切だと考えるようになりました。やって欲しいことをちゃんと言って、愛を持っていっぱい話したら絶対良くなると思っています。

Q.Asia Gateさんはどんな会社で、また、豊田さんはどんな仕事をしていますか?

豊田さん:アジアゲートベトナム は上述のように人事業務の中でも「ベトナムでの人事マネジメントや労務法務で”これって、本当かな?””こんな風にすればいいと思うけど、専門家の意見も聞いてみたいな”といったような「相談相手」として気軽に活用いただけるよう、受け身の姿勢ではなく、こちらからの情報発信や月次顧問会の開催を頻繁に行って、ベトナムの人事に関わる「モヤモヤをスッキリに」変えていただけるようにコミュニケーションをたくさん取らせていただくことを心がけています。

人事評価制度や報酬制度についてはできる限り、我々の「テンプレート」「雛形」をお客様に押し付けるのではなく、「何をどのような状態にしたいのか」を十分お話しさせていただいて、それぞれのお客様にあった無理のない改善方法を一緒に作成するように心がけています。

人事制度は「会社の意思」そのものですので、一度、急激な改革で従業員との信頼を損ねてしまうと2度と取り戻せないこともありますので、そこは私は慎重に進めたいと思っています。

京都へ社員旅行へいらっしゃった時のお写真。素晴らしい経験です。

Q.業界の最新トピックがありましたら、この道のプロとして紹介させてください!

豊田さん:ベトナムが世界中の企業から注目されるにつれ、以前に比べ、ベトナムにおける日系企業の従業員から見た魅力は 残念ながら韓国系や欧米系、そして一部の優良なベトナム企業に対して相対的には低下しているのは間違い無いといって良いと思います。

その中で、従来の「ほぼ日本式」もしくは「とにかく急場凌ぎで現地で作った人事制度」では従業員の獲得や定着に大きな支障が出るようになってきており、「人事評価・報酬制度や人事マネジメントの方法」に対して、非常にご相談が増えています。

日系企業でよくある例が、面接で複数の人が面接官として複数の候補者を見る場合、原則としては、質問項目、チェック項目を統一しないと正しい評価にするのが難しいのは新体操やフィギアスケートと同じ理屈です。しかし、ふらっと面接に来て、それぞれが好き勝手な質問をしたり、人ごとに違う質問をしている企業が多いように思います。それだったら一人の人が責任を持って全員に会って自分だけの基準で決める方がまだマシと思います。こういったことからも指導させていただいたりします。

Q.豊田さんが目指す、これからの仕事における夢は何ですか?

豊田さん:大きな夢は特にないですが、私が集めた情報や考えた知識、そしてイベントなどを通じてベトナムで働く方々に何か「指針」らしきものでも得ていただけて、仕事の悩みが減って、多少なりとも「ありがとう」と言い続けていただければ、それが一番、ありがたいです。

そして、できれば、50代、60代と能力研鑽を続けて、今よりも、少しでも「ありがとう」と言っていただける実力を身につけて、喜んでいただける人が増えておれば非常に幸せだろうなと思います。

Q.豊田さんのプライベート公開、また、ベトナムで子どもを育てるにあたってワンポイントアドバイスなど

豊田さん:あまり趣味のない男ですが、読書は非常に好きで、特に歴史関係の本を読むのが好きなのですが、以前に比べ電子書籍で気軽に本が買えるのでとてもありがたいです。

ベトナムでの子育て、と言うと、ハノイは特にですが、私が現在進行形で悩んでいるのは「空気の悪さ」「交通の酷さ」「公園の少なさ」かなと思います。こればかりは個人ではどうしようもないので、それぞれのご家族がこの状態に対して「どう向き合い、どう対処するか」という決断が迫られると思います。病気、事故、運動不足などは後々にまで影響を及ぼすので、「ベトナムだし大丈夫っしょ」ノリで子供に不利益を与えて良いのか、慎重に考える必要があると思います。

ただ海外にいることで子供に残してあげたいことは何かを考えた時、「日本人以外の人間と話をしてコミュニケーションを取ったことがある」という経験だけは残してあげたいと思っています。自分はその経験が持てなかったことが海外に飛び出すのが遅れた原因だったので、「日本人以外の人としゃべったことあるし別に普通」というマインドセットだけはなんとか鍛えてあげたいなっていうのはあります。それ以外は何を教えようが、自分もそうだったように親の言うことなんて聞きませんから、チャンスは与えるけど選ぶのは本人と思っております。

息子さんとのツーショット♪

Q.これからベトナムに来る日本人の方へのメッセージ

豊田さん:もはや、ベトナムの街もベトナム人もどんどん近代化をして、一般的な日本人がメディアを通して感じている「まだまだ、これから」「日本と全然違う」ベトナムとは言えなくなってきているように思います。

日本でできないことはベトナムでもできないし、日本でできることはベトナムでも普通にできて、冒険旅行に来るような感覚の方には、もはや物足りない国かもしれないです。

とはいえ、日本にいたらほとんどの人が同じようなバックグラウンドを持っているかと思いますが、ここベトナムではそれぞれ背負っているものが違います。年金がほとんどなければ公的な医療保険もあまり機能しておらず、お金を持つ者が親族の面倒を見るのが当たり前です。それを考慮しないでベトナム人の転職率の高さ・・・いいお給料を求めて簡単に転職してしまう・・・ことについて簡単に「金ですぐ転ぶ」的なことを言うことはできないですよね。これからベトナムに来る方には、ここで出会う人に対してその人がどういう状況なのか、自分との違いは何なのか、ということをちゃんと把握して欲しいと思います。あまり色眼鏡をかけないのがいいと思います。

それから、「なぜ、ベトナムでなければいけないのか?ベトナムに来ることで日本で捨てるものは、本当に捨てていいものなのか?」をきちんと考えてもいいのかな、とも思います。

我々はあくまでも「外国人」ですから、「ベトナム人よりも、何かが良くでき」て、それが「ベトナムの社会に役立つ」ことがない限りは、基本的には、存在価値はない、というくらいの気持ちを持って、私自身は臨んでいますが、こういう「水をさす」ような話をすること自体が歳をとった証拠ですので「みんな笑顔の、とても素敵な国ですよ!!何も考えず、飛び込んでいらっしゃい!」と伝えてください笑

実際、私も何も知らずに飛び込んできましたし、ベトナム来る前に45の現地のおっさんに、こんな話をされたら、「何じゃ、こいつ」と思ったと思いますので。

歳はとりたくないもんです笑

母校の立命館大学を訪ねられた時のお写真。現在、ハノイ立命館大学校友会の会長を務められています。

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インタビュアー
ハノイ支店マネジャー 嶋村 拓史(しまむら・たくじ)
E-mail: takuji.shimamura@hrnavi.com
Tel: 090 1828 660

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