2017年10月11日
うちの会社ではパソコンに関して、やや変わった制度をとっています。パソコンは社員自身で用意してもらい、それに対して、月額50万ドンの補助を出します。会社が社員のパソコンを借りて、社員本人に使わせる考え方です。社員は自分のパソコンなので、大切に使うし、慣れているし、会社は固定資産を抱えないのがこの制度を導入した理由です。同時に、お金がなくて、パソコンを用意できないスタッフのために、パソコン購入のために無利子でお金も貸す。会社へのローン返済はPC補助金で充てると、3年程度で、自分のPCをもつことになる計算で、とてもお得な制度に違いありません。
しかし、この制度を導入したところ、意外に古いパソコンを使い続けるスタッフが非常に多いことが浮き彫りになりました。
聞いてみたら、みんなが口をそろって、まだ使えるPCなので、捨てるのはもったいないと。はい、確かに使えていないわけではないが、電池が15分で切れちゃうもの、死んでいるキーがいつくもあるもの、処理スピードが極めて遅いものと様々で、とてもハイパフォーマンスを出せるようなPCではありません。
つまり、パフォーマンスや利便性を無視してでも、節約する習慣があります。節約というより、我慢と呼んだ方がが正しいだろうとお思います。
思い出しますと、自分が21年前に日本に留学した時、それなりの金額の奨学金をもらっていたにもかかわらず、一所懸命節約しましたね。当時のベトナムは非常に貧しかったので、ためたお金を家族に送りたかったです。田舎から出てきた社員で家族に仕送りする子はこれにあたります。しかし、家族に仕送りしない、逆におこずかいをもらっている社員も生活水準を極限に下げて、節約、節約ばかりに走っている社員はかなり不思議に思います。それに上長して、ベトナムでは安かろう悪かろう的なご予算に合わせるサービスがいっぱいあり、節約するための土壌ができています。
弊社の20代スタッフだけのことではなく、50代、40代の友人を見ても、ある程度所得があるにしても、消費より節約を選ぶ人たちが多いように思います(※見栄えにかかわるようなiphoneは別です)。子供のための資産形成という理由もかなりありますが、消費することによって、良いサービスを受けられる経験を持っていないことがもっとも大きなポイントだと思います。
そういう意味で、会社からお金を借りて、よいパソコンを使えるのも消費促進の一つです。
社内イベントはなるべくサービスのよいレストランやホテルを選び、正式入社する時によいお洋服やカバン、靴を揃えてもらいたいために入社祝いを出すなどと、いろいろ細かい施策を実施してきました。劇的な変化はとうぜん見られませんが、徐々に変わっていくのは楽しみの一つです。さらに働く意欲と消費促進のために、ライフプランコンサルタントの友人を頼んで、全社員に対してのコンサルをやってみようと思っています。
次号では「質問は今、ありません。問題があったら、聞きます。」について話したいと思います。
→ 人材から人財への道のり::VOL 3:: ベトナム人の金銭感覚―――――
国費留学生として、選ばれ、1996年~2006年まで日本で留学と仕事を経験したのち、ベトナムに戻り、日系企業に対して、経営助言のコンサルティングをしました。ベトナム人は比較的にレベルが高くないという実態をなんとかしたく、2010年からアイグローカルリソースを創設、ベトナムにある人材のレベルアップを会社のミッションに、日々、努力しています。
氏名:上野 良輔さん
会社名:KIC Vietnam
役職:General Director
山田:よろしくおねがいします。まずは自己紹介をお願いします。
上野さん:上野良輔と申します。2016年の3月にベトナムに来ました。現在日本人向けの学習塾とベトナム人向けの日本語学校を運営しており、代表を務めさせて頂いております。
山田:現在それぞれ生徒数は何名くらいいますか?
上野さん:学習塾の方は80名くらい、日本語学校は140名くらいです。
山田:1年半ですごいですね!
上野さん:日本語学校の開校は去年の10月くらいなので丸1年くらいですね。最初は10数名の生徒数からスタートしました。今年の6月頃に一気に増えました。
6月がベトナムでは一般的に夏休みに入るんですが、大学生や高校生向けに大きなキャンペーンを実施しました。道路広告やウェブ広告の出稿量を増やしたのと、日本語に触れるイベントを開催して、塾生以外の方にも日本語やKECの良さを知ってもらう機会を増やしました。
山田:なるほど。コミュニケーションで日本人のスタッフとベトナム人スタッフの違いや気を付けなければならないと思うところはなんですか?
上野さん:日本の本社ではざっくばらんに話すことを重んじる社風です。社内ネットワークで上司や社長など、自分より役職が上の人に対して、意見や改善点をあげるルールがあります。だから言いたいことが言える環境ではあるんですね。しかしベトナムに来て、同じやり方を導入したんですが、ベトナムの人は気を遣ってあまり本音を言わないので、なかなかうまくはいきませんでした。「こういうことを言ったら不利益になるんじゃないか」というふうに悪い方に想像して、あまり本音をだしてくれませんでした。
山田:現在はいかがですか?改善はしたんですか?
上野さん:ベトナムの方が本音を言わない理由はさまざまです。例えば人間関係をこじれさせたくないのもその一つです。ですので、「他の誰にも言わない」「評価に影響しない」ということを繰り返し何度も言い続けました。そうするとようやく役職の上の人から徐々に意見が上がってくるようになりました。
山田:そこで実際改善につながったことはありますか?
上野さん:非常に細かいことではありますが、掃除をちゃんとする人としない人がいるという意見が上がってきまして・・・
山田:なんだか学校みたいですね笑
上野さん:そうですね。ただ自分が上司にチクったみたいになるのが嫌だったのか、そのことを言うのを我慢していた人がいました。ただ先ほどのシステムで勇気をもっていってくれた人がいて、その事実が発覚しました。そこで、毎日昼礼があるんですが、昼礼の後にみんなで必ず掃除をするというルールを設けました。今はまだ小さな改善ですが、それらが積み重なっていけば、どんどん会社が良くなっていくと思っています。
山田:生徒との接し方やコミュニケーションとしては気を付けていることはありますか?
上野さん:ベトナムでは、先生と生徒との距離が日本よりも近いのは感じますね。日本だったら、生徒と先生がどこかに遊びに行くというのは基本的にダメだと思います。でもベトナムはそれが普通のようで、例えば授業が終わった後にカフェに行くこともあるそうです。最初は禁止していました。しかし生徒や先生から「なんでだめなの?」と言われたので、1対1でなければオッケーということにしました。
山田:それを許すことで良かったこと、逆に良くなかったことはありますか?
上野さん:良くなかったことは、その先生と親しくなりすぎて、担当が変わるとき嫌がる生徒が出てきてしまったことです。距離が近すぎることの弊害ですね。逆に良かったことは、やはり学校に愛着を持ってくれますし、その生徒の親も先生を慕ってくれるようになったことでしょうか。その方からの紹介入塾も生まれたので、その国の文化に合わせることの大切さも感じました。
山田:なるほど、生徒とのコミュニケーションに関して、新しく勤務される先生に対してどのように教育していますか?
上野さん:日本語学校でも学習塾でも一つルールがあって、生徒が来たら自分の作業は止めるように指示しています。例えば勉強の内容に質問のある生徒はそこで聞くことができますし、何もなくても雑談を通してコミュニケーションが生まれることも大切にしています。ベトナムでは先生が遅刻するということが往々にしてあるようで、他の日本語学校や大学などでもそれが普通なようです。日本語の先生たちもそういう環境で育ってきたというのがあって、当初は授業の時間になってから急いで用意したり、5分くらい遅れて入って教室に入っていったりしていました。やはり生徒のことをよく知るということは指導をする上で一番大切なことです。どういう性格なのか、どんな目的で勉強しているのか、どんな夢を持っているのか、何が好きで何に興味があるのか、そういうことを理解した上で指導をしてほしいですね。
山田:勉強の目標をたてることにも役立つわけですね。
上野さん:そうですね。例えば留学をしたいという漠然とした希望を持っている生徒がいた場合に、「じゃあ今年中にN5をとっておこう」みたいな具体的な話ができるようになりますね。
山田:あと塾の場合、保護者の方々と接することもあると思うんですけど、保護者とのコミュニケーションに関して気を付けていることはなんですか?
上野さん:良いところも悪いところも全部伝えるということですね。塾というのは特殊な産業でサービスを受けている人とお金を払う人が違うんですね。ですので、生徒が塾に満足していて「塾大好き!」って言ってくれていても、保護者の方が辞めさせるという決断をされることもあります。ですので生徒はもちろんですが、保護者の方にも状況を全て伝えるように心がけています。例えば「宿題を忘れています」とか、「小テストで点数が取れていません」とか悪いことも伝えますし、逆に褒めるべきところはしっかり褒めるという点も意識しています。
山田:ベトナム人スタッフ・生徒・保護者と世代や国籍も違う方々と普段接しておりますが、コミュニケーションに関して一貫して重要視していることはなんですか?
上野さん:生徒であればKICを卒業した後、スタッフであればもしKICを辞めてしまった場合でも、自立して歩んでいける人材を育てるということを強く意識しています。KICで学んだことを次のステージでも生かしてもらえたらうれしいです。
山田:それは例えばどんなことですか?
上野さん:基本的なことだと、報連相やスケジュール管理でしょうか。スタッフによくあることですが、仕事をお願いしたときに進捗報告をしてくれるスタッフは少なかったですね。こちらとしては進んでいるかどうかが判断できなくて困りました。また期日があるものに対して、当日になって間に合いません、と言われることも多かったです。そういう基礎的なことを、言い続けることで徐々に変化が見えてきました。その力は、万一他の会社へ転職したとしても必ず生きるでしょう。
山田:最後にこれを読んでいる今後ベトナムに参入される方々にコミュニケーションに関してアドバイスがもしあればお願いします。
上野さん:まずは「諦めない」ということですね。「これを言わせるのは何回目!?」みたいなことが多くあります。あきらめずに言い続けていくと、少しずつ変わってきている実感はあるのでぜひその点はお伝えしたいですね。また自分自身が手を抜かずにやるということですね。KICの教室ルールとして、「挨拶をきちんとしよう」「約束を守ろう」などの行動規範があります。それを自分が破っていたら指導ができないので、まずは自分たちスタッフが徹底することは強く意識してますし、スタッフにも意識させています。
→ 輝く日本人::VOL 3::Sun Red River 能塚さんシンチャオ!
私はベトナムに来て10月で丸4年になりますので、折角なので今までのことを振り返ってみました!
私はベトナムに来るまで一度もベトナムに来たことはありませんでした。たまたまインターネットのカンボジアの求人サイトでHRnaviの募集を見つけました。なんだか怪しいサイトだな・・・と思いつつ、海外なので英語で履歴書を送ってみました。するとすごい上手い日本語でベトナム人からメールが返ってきました。そう、社長のPhucからです。早速、一次面接をSkypeですることになり、初めてベトナム人と話すので、どんな感じかワクワクしました。色々と話して、一次面接は合格したようで、今度、Phucが東京へ出張行くから会おう!ということになりました。
翌月、東京でPhucに会いました。Phucはスーツをバシッと着こなしていたので、初めてベトナム人を見た私はちょっと意外で驚きました。でもなんで素足に革靴を履くんだろう?(石田純一か?)とちょっと疑問でした。そしてカフェでPhucがベトナムコーヒーを頼んだのは今でも忘れません。笑
入社して1カ月ホーチミンで研修をしました。システムやドキュメントは全て英語。今まで日本語でしか働いたことがなかった私には、最初はかなり辛かったです。名刺1枚入力するのに10分以上かかる始末です。お客さん同行したり、夜は会食に行ったり、すごく目まぐるしく時が過ぎていきました。元々ハノイに行くのが決まっていたので、いつ行きますか?とPhucに聞くと、自分で決めていいよ、と言われたのは、とても新鮮でした。日本だと全て会社が決めるので、自分で決めていいんだ!と驚きと嬉しさが混じった感じでした。
ハノイに赴任してからは、最初は右も左もわからず、とりあえずみんなに聞きまくり、一人でシステムをいじってみたり試行錯誤しました。最初は分からないので、失敗してベトナム人スタッフに怒られたり、ベトナム人同士で喧嘩して泣いてたり、驚きの連発でした。
一年経ったころに、少し慣れてきたから、自分の価値ってなんだろうと思ったことがあります。ベトナム人でも日本語ができるし、自分の役目はなんだとうと。今思うと自分の視野が狭くて、仕事ができたつもりになっていたんだと思います。
2年目になるとたくさん社員が辞めていき、ハノイ事務所は私入れてたったの3人になりました。ちょっと本気でハノイ事務所をたたむか?!という話もあったくらいです。その時は自分で登録者にも電話して、人を探して、分からないなりに、何とかしよう!という気持ちで働いていました。今となってはあの頃の経験も必要だったんだなと思います。
3年目になると会社も組織っぽく仕組みが整ってきました。自分自身にも自信が出てきたのか、今まで中々自社の採用ができなかったのに、面接でよく私と働きたいと言ってもらえるようになりました。多分自信が表に出ていたんだと思います。
業務のほうもそれまでよりも高級な案件を決めることができ、お客さんから非公開の求人も預かるようになりました。
4年目になると組織も変わり、ほとんどが新卒で日々教えることで時間が過ぎていったように思います。正直もう自分が案件が決まってもそんなに嬉しくないので、いかにみんなに成功してもらえるかを考えていますが、そんなに簡単なことではないですね。
5年目は副業の化粧品販売も頑張りたいです。
―――――
プロフィール
吉田綾華(よしだ あやか)
E-mail: ayaka.yoshida@hrnavi.com
Tel: 0968 096 784
1987年生まれ、石川県出身。
人の役に立ちたい!という想いから、東南アジアと人材の軸で仕事を探し、2013年からアイグローカル・リソースに入社。自らの海外就職の経験とホーチミン、ハノイの両拠点での勤務経験を生かし、お客様と登録者の懸け橋となりアドバイスを行っている。
【日本人紹介】
日本人求職者リストは下記のリンクでご覧ください。
https://goo.gl/ZqgKbY
【管理職ベトナム人紹介】
管理職採用でお困りのお客様へ。中々、優秀な管理職人材が採用できずに困っていませんか。
優秀な管理職を採用することにより、中間層を拡充し、ローカライズを図りましょう。
また、彼らを挟むことにより、コミュニケーションがスムーズになります。
選び抜かれた登録者に対して、企業側から攻めの採用をすることができます!
詳しい内容は下記のリンクからご覧ください。
https://goo.gl/jLyUHs