ブログ

Vol.003 人材から人財への道のり::VOL 3:: ベトナム人の金銭感覚

2017年9月13日

人材から人財への道のり::VOL 3:: ベトナム人の金銭感覚

先日、日本出張に行ってきました。日中の仕事を終えて、銭湯にも行き、最後には居酒屋で一杯しようと思い、新宿にある居酒屋の「天狗」に覗いてみました。名前がタオとカタカナで書かれている女性店員に迎えられ、ふとベトナム人なの?と聞いたら、案の定ベトナム人でした。席について、さらに聞くと、どうも店長は日本人ですが、それ以外は厨房も含めて、全員ベトナム人でした。自分の留学時代を思い出して、嬉しかったです。勘定後に、サービスしてくれた女性店員に「ほんの気持ちだけですが、これでみんなで飲みに行きなよ」と少しだけのお金を渡しました。すると・・・

店員:「お気持ちだけ嬉しくいただきます。しかし、お金は受け取れません」

よく確認すると、お店でお客さんからお金を受け取ったらだめというわけでなく、単に遠慮している様子でした。いくら言っても受け取ってくれなかったので、仕方がないので、コンビニでおにぎりなどを多めに買って、店員の子たちに渡しました。日本人であれば、素直にありがとうと受け取ってくれるはず。なのに、なぜこのベトナム人の女性店員は受け取らなかったのだろうと思います。

仕事上でも、お給料が上がる、またはインセンティブももらえたりした場合、相手に対して良かったねと言うと、「いや、私はお金をあまり意識していませんよ」と答えます。しかし、いろいろな会話を勘案するとそれなりにベトナム人も所得を意識しているはずです。なぜ、お金に対して、素直にならず、避けたがっているのでしょうか?

いろいろ観察している中で、ベトナム人の金銭に対するコンセプトは下記の3点にまとめれます。

  1. 金欲をみせたらいけない!

    今こそ近代化しているベトナムですが、もう少し前ではほとんどの町が村社会でした。基本、大家族で生活したりするので、お金ではなくご近所さんとお互いに非金銭的なやり取りをしてきました。その中で、お金、お金を主張する人はいけないと小さいころから教育されてきたため、「お金」を主張しない方が多いように思います。ちなみに余談ですがお金というものに意識が低いことから、お互いに無利息で期限をつけず貸し借りするということも日常よくある話です。これも上記のタオさんが遠慮して、お金を受け取らない理由になります。
    ※ベトナム人同士の感覚で、ベトナム人と外国人ではまた別です。

  2. 大ぴらに自分がお金を持っていることを振る舞ったら良くない!

    お金の大小で上下関係ができてしまうことが多く、純粋な友情を害する場合もある。よって、割り勘しないで、お金のある人は全部清算して、その金額すら他に知らせない。それも当たり前なので、払わせてもらえている感覚で、感謝を期待しない。女性とデートする時も、自分がすべて払うという感覚を常にもち、それを嬉しく思うべきであるということです。

  3. お金よりも友情、家族愛、愛国心、自己犠牲を優先する!

    お金よりも友達や親族が大事。ベトナム人の考え方としてお金はまた稼げるが人間関係は一生のものだという考え方の方が非常に多いです。従って、友情、家族愛を表現する方法として、いかにたくさんその人たちにお金を使うかという事を意識しています。ビジネスでいえば長時間にわたる接待、超一流レストランやプライベートクラブもこの考え方の一つで、いかに世話になった人にお金を投資するかという精神、また気持ちの現れと思われます。

私は日本人と長く仕事してきているので、金銭感覚はどちらかというと日本人っぽいと思います。すると上記のように、お金をあげても受け取ってくれない、昇給しても素直に喜んでもらえない、友人など一時的にお金を貸しても返済に関して、こっちから言わなければ相手から何も言ってこないなど、とても違和感を感じますが、コンセプトを理解すれば、納得できます。

組織作りにおいて、とくに弊社のように営業色の強い仕事ではお金に対して、素直になってもらう必要があります。素直に喜ばなければ、思い切った取り組みが中々できないのがその理由です。弊社で、まずはMVP(Most Valuable Person)賞を設けて、成績の良いスタッフを表彰することにしました。表彰状と賞金を渡すだけではなく、全社朝礼にて褒め、さらに外部にも公開する写真入り掲示板に写真を飾ります。写真を飾るのはいやだというスタッフもいましたが、何とか納得して、協力してもらうことになりました。このMVPを通じて、努力すれば、良い結果を得られ、正当な評価を受けられる。稼げる力がプライドとなったりします。そして、「後悔しない社会人の一年目の働き方」という著書を教材にして、会社の備品における価値観・大切さや休憩時間は時に会社にとってコストになる等という考え方を長い時間かけて社員に浸透させています。

そして、リーダーとしての自分には上記の3のように、金銭を超えた愛情を部下に示すのが今までもこれからも課題だと思います。それが感じれる部下は今度、他のメンバーのために、一所懸命になり、まさしく、ONE FOR ALL、ALL FOR ONEで組織全体が活性化していくのです。逆にこれができない組織は衰退していくかもしれません。

お金を稼ぐのはそう簡単ではないのですが、使うのがさらに難しい気がします(笑)。

次号では節約好き、我慢好き?について、考えたいと思います。

→ 人材から人財への道のり::VOL 2:: 距離を縮める魔法のツールとは?

―――――

プロフィール
Nguyen Dinh Phuc
E-mail: nguyen.dinh.phuc@hrnavi.com
Tel: 0901 809 991

国費留学生として、選ばれ、1996年~2006年まで日本で留学と仕事を経験したのち、ベトナムに戻り、日系企業に対して、経営助言のコンサルティングをしました。ベトナム人は比較的にレベルが高くないという実態をなんとかしたく、2010年からアイグローカルリソースを創設、ベトナムにある人材のレベルアップを会社のミッションに、日々、努力しています。

輝く日本人
Sun Red River 能塚さん
2017年9月13日

氏名:能塚 洋一さん
会社名:Sun Red River Co., Ltd.
役職:General Director

取材後、社内ミーティングルームにて
すごく親切な方。ハノイ歴22年の大ベテランです。

同社独自で運営するビジネスセンター(SUN RED RIVER2階)
ここに日系企業が複数社入居されています。

SUN RED RIVER建物外観
築18年とは思えないキレイな外観です。
入居率は平均90%を維持。人気物件です。

同ビル2階テナント「東京レッドグリル」能塚さん友人が経営する飲食店
宴会、打ち上げなどにもよく使用されている人気店。
料理の味は絶品です!! 能塚さんも経営に協力している。
メニューは能塚さんも入り共同開発しているとか。

嶋村:本日はどうぞよろしくお願いします。では自己紹介をお願いします。

能塚さん:能塚です。サンレッドリバー代表を務めています。会社はビルオーナー兼管理運営業務を主体としてハノイで約18年事業を行ってます。その中でも私の仕事は入居者向けの対外的な仕事、テナントさんからの依頼があればすぐ出向き対応するなど社長業だけでなく営業の仕事もしています。

嶋村:ベトナムに来られてどのくらいになるんですか。きっかけは何だったんですか。

能塚さん:今年で22年になります。1995年頃に日本で第一次ベトナム投資ブームが起きて、当時働いていた会社がベトナムに不動産建設を計画し、まずはライセンス取得のため現地調査かねてベトナムに派遣されたことがきっかけです。その案件が現在のサンレッドリバーでした。同年にライセンス取得、1996年に建築を開始し、1999年にオープンし現在築18年目を迎えています。

嶋村:1995年のハノイ・・・想像もつきません。当時どのような状況だったんですか。こちらに初めて来られてから苦労されたことも多かったのでは?

能塚さん:もちろん悩みましたよ。生活面では、その当時は現在のようなハノイに日本人がたくさんいるわけもなく、たったの500人程度、ベトナムに進出する日系企業は三井物産、豊田、ホンダなど有名な大手企業だけでした。ハノイ市内で日本食レストラン3件しかなく、スーパーマーケットもなし、食材など買い物をする場所は市場だけと厳しい環境でした。

日本のことについて情報収集したくても、当時はネット普及していないこともちろん、スマホもなければ、娯楽についてもテレビで民放なくNHKだけ。唯一、情報収集できるツールは新聞だけでした。それも友人が日本より持参してくれたもの、帰国時にまとめて買ってきたものなど。とりあえず時代遅れにならないように必死に新聞また広告を貪るようにして読んでいた記憶があります。

ほか生活面では停電が頻繁にあり、インフラもまったく整備されていないような状況でしたね。あと、現在みたいに旅行者向け安宿があったり、廉価なレジデンスなど一切なく、ハノイ市内でホテル一泊の平均価格は120~150ドルくらい、レジデンスに住もうものなら7000ドルくらい用意しないと契約できなかったものです。

困ったことは数えきれないほど多かったですが、日本人コミュニティもあり、皆で協力しあいながらなんとか生活していましたね。当時は大変でしたが、今思い返したらとても良い経験です。

嶋村:現在でもこちらに来られる日本人の方は食に関する悩みが特に多いみたいです。ちなみに仕事面ではどうでしたか?

能塚さん:私が来た1995年は駐在員としての訪越でした。当初、日本人と絡むことが多かったですが、日がたつにつれてベトナム人と接する機会が増えてコミュニケーションや考え方の違いに戸惑うことが出てきました。本当の悩みでいえば、現在のポジションに就任された2004年以降ですかね。社長業を任されて初めてベトナム人との接し方を深く考えるようになりました。それは教育という問題です。

例えば、ベトナム人との感覚のちがいを挙げます。日本人の感覚で悪いと思って注意叱責することでもベトナム人にしてみればなぜ注意されているか、また、怒られているかがわからない方が多いです。日本の当たり前をそのまま持ち込んで強制してもダメということを数々の経験から学びました。彼、彼女たちの持っている感覚をわかってあげ(歩みよる)、うまく付き合うようにコントロールしてあげる必要があります。ただの考えの押し付けは嫌がられる一番の原因になります。

またホーチミン事情はわかりませんが、ベトナムハノイの北部の人は良くも悪くも嘘がつけない性格。現在では考えられませんが「今日はしんどいから帰ります(特段の理由もなく)!!」ということもありましたよ笑 その時はどうしていいものか私もすごく戸惑いました。

嶋村:たしかに感覚だけをとっても日本人とベトナム人では全然ちがいますね。私も従業員との間で議論したり、意見がぶつかった場合など、必ずといっていいほどそういう場面に出くわします。能塚さんの長年の経験から、ベトナム人と仕事上でうまく付き合うためのアドバイスをいただけませんか。

能塚さん:まずは一人ひとりと信頼関係を築くということが重要です。ベトナムでの現地スタッフの労務管理がキーワードとなっていることは昔も現在も同じです。人種がちがうので当然のことですが、こちらに来られる日本人の方は「日本での当たり前をベトナムで当たり前と思わない」という意識をもって仕事をすることが成功の近道でしょう。もちろん教育によって考え方、理念を植え付けることは問題ないですが、できて当然でしょう。という考えでは双方の距離が疎遠になっていくだけ。100%の日本式教育は無理です。ですので、バランスを考えベトナム人の考え方を尊重してあげながらこちらの考えを教えていく。

そして、従業員に注意叱責することも時には大事で、ずっと優しい社長、上司ではダメなんです。これにも諸説ありますが、ここぞというときに見せる!ということを私は自身の失敗からも学びました。ただし、怒るのはあくまで全体に向かってで、個人に向けて、特に大勢の前で注意批判をすることはご法度です。ベトナム人の場合、人前で注意されることを嫌います。個々のプライドは高く、人前で恥をかくことを嫌う。日本人みたいに何が何でも耐えるみたいな精神論はききません。どうしても個人に注意したいのであれば、個室などに呼び伝えてあげること、そして次にどうするべきか明確に指示して改善を求めることが良いです。私の場合、社内全体の雰囲気を引き締めるという意味で社員みんなに向けて注意しています。もちろん社長としての威厳を保つという意味もありますが。社長、上司が個人に特定せず、何かに対して怒っているとなればみんな反省して仕事の意識が変わるなんてこともあるんですよ。また、日本式教育の場合、特に企業だとアメとムチでいえばアメ3割/ムチ7割が平均ではないでしょうか。しかし、ベトナムではその逆をお勧めします。従業員をほめて伸ばすことに重点を置く。その方が教育として長続きします。

嶋村:教育はほんと難しいです。自分から意識を変えて周囲に適切に伝えてあげることが重要なんですね。人材の会社をしていると離職率という言葉がこの国では顕著です。以前、能塚さんから御社社員さんはほとんどの方が長く勤められていると聞きました。従業員の方が仕事を長く続けるための秘訣ってあるんですか。

能塚さん:弊社の従業員は勤続年数が15年以上のベテラン社員が9割と定着率が非常に高いです。理由をきくと居心地が良い職場環境、適度な仕事量、会社イベントが楽しいなど。一つアドバイス言うとするなら楽しみを共有してあげることですかね。ベトナム人の方は旅行が大好き。過去に会社の社員旅行を開催した際、みんなの気合がすごくてとても驚きました。日本でいう社員旅行は控えめなイメージがあります。こっちは社員全員が出し物やイベント、チームビルディングなど個々が主体となって考え行動する、しかも仕事以上に本気で楽しみます(笑)なかなかできないことですよ。顔を見ても本気で楽しんでいるのが見て取れます。このみんなの楽しみ喜びを一緒になって共感してあげる、また一緒に輪に入って盛り上げてあげることが重要と認識しています。成功談としては現職に就任した初年度に社員総勢100名以上をタイに連れていったことです。当時では日系企業もまだ社員旅行が定着しておらず、みんな海外旅行の経験が一度もない方が多く、従業員たくさんの方たちから感謝の言葉が一斉に寄せられたのを覚えています。それからは毎年社員旅行に行くようにしています。

嶋村:キーワードは「楽しみ」ですね。私の会社ももっと取り入れていきたいと思います。ちなみに能塚さん今後のキャリアなどはお考えですか?あれば教えてください。

能塚さん:ここにきてようやく本業が安定してきたので、次のステップを検討しているところです。現在、親会社が当地にて健康食品の販売促進を行っています。その販売PRを手伝って事業を軌道に乗せることが直近の大きな目標ですかね。ベトナムは現在成長しており、若い方を中心としてネットなどで健康食品ブームがきています。特に日本の製品にも関心・人気が高く、とても魅力的みたいです。日本製化粧品など売れ行きが良すぎて空港など免税店でベトナム人の購入需要も年々増加しています。ただし、売るためにはいろいろな壁が立ちふさがります。例えば、現地に商品を仕入するには輸入ライセンスが必要です。ライセンス取得するために書類準備はもちろん、法律など勉強しなくてはいけません。事業始めてから知りませんでした。では話になりませんからね。この国ではそのトラブルが一番多いような気がします。

嶋村:新しい挑戦でこれから楽しみです。私も応援しています。最後にこれからベトナムにくる日本人に向けてメッセージをお願いします。

能塚さん:私は34歳の時にベトナムに来ました。今ではもっと早くに来ておけば良かったと後悔することもあります。最近では20代でベトナムにくる若者たちが増えてますよね。周りからいろいろな意見を聞くこともありますが、とにかく一回まず海外ベトナムを見ることは良いことで、現地では日本にないようなビジネスチャンスがたくさんあります。日本とまた違う世界を目で見たり肌で感じたり、その経験をベースに成長できることは必ず自分の大きな財産になるでしょう。情報社会ですが、ただ情報収集だけでとどまらず実際に現地にきてベトナムという国がどんな世界かを確かめる。それでもどうしても日本に帰って働きたいと思うのであれば、その経験を持って帰れば良いだけ。日本での余生それからでも遅くないような気がします。経験値はなにより大事で、ここベトナムで得た経験はマイナスにはきっとならないでしょう。日本で経験できない成功、失敗をベトナムでは経験できる、これは大きなメリットです。

嶋村:本日はどうもありがとうございました。

→ 輝く日本人::VOL 2::ベトナムで働く日本人女性、須藤さんの働き方

あーちゃんのベトナムワーク&ライフ
VALUについて

本日はVALU(バリュー)という日本で話題の仮想通過を利用したビットコインのサービスについてお話します。

簡単にいうとVALUというのは、会社単位ではなくて個人単位で株を発行して、資金を集めることができるサービスです。株式会社は、自分の会社の株を発行して、それをお金を持っている人に買ってもらい、事業を行うための資金を集めます。そして、その事業が軌道に乗って利益が出るようになったら、それを株を買ってくれた人たちにより大きなリターンとしてあげるのです。VALUとはまさにこの個人版です。
個人がそれぞれ株式会社のような感じで、ビットコインで出資を募って資金の調達ができるのです。 ただ、株とは異なる点として、まずVALUでは現金ではなくビットコインでしかやり取りができません。
そして、VALUEでは株主が経営に関して意見を言う権利がありません。
VALUは名もなき個人が一気に有名、お金持ちになることができるのです。とても夢がありますね!日本で有名な堀江貴文さんは時価総額8億円を超えたそうです。
まだまだ問題点は多いですが、とても面白いサービスだと思います。
私も先日、上場申請しました!
ちなみに私の時価総額は35万円くらいでした。上場する前に審査が入るのですが、Facebookで審査されます。Facebookの友達の数などで時価総額が決まるとか。
私はベトナムで化粧品を売る実業家です!!笑
VALUのサイトは英語も対応しています。まだベトナムでやっている方は少ないので、早く上場して目立つチャンスです!よかったら皆さんも始めてみてください。

→ あーちゃんのベトナムワーク&ライフ::VOL 2::あーちゃんのベトナムでの近所について

―――――
プロフィール
吉田綾華(よしだ あやか)
E-mail: ayaka.yoshida@hrnavi.com
Tel: 0968 096 784

1987年生まれ、石川県出身。
人の役に立ちたい!という想いから、東南アジアと人材の軸で仕事を探し、2013年からアイグローカル・リソースに入社。自らの海外就職の経験とホーチミン、ハノイの両拠点での勤務経験を生かし、お客様と登録者の懸け橋となりアドバイスを行っている。

人材リスト

【日本人紹介】
日本人求職者リストは下記のリンクでご覧ください。
https://goo.gl/suDDfi

【管理職ベトナム人紹介】
管理職採用でお困りのお客様へ。中々、優秀な管理職人材が採用できずに困っていませんか。
優秀な管理職を採用することにより、中間層を拡充し、ローカライズを図りましょう。
また、彼らを挟むことにより、コミュニケーションがスムーズになります。
選び抜かれた登録者に対して、企業側から攻めの採用をすることができます!

詳しい内容は下記のリンクからご覧ください。
https://goo.gl/jLyUHs